(1)この柱も
痛かったのよ
――うるわしき母子
 かつて講演にゆく、車中での出来事である。
 ちょうど車内は、空席が多く広々として静かであった。ゆったりとした気持ちで、周囲の座席を独占し、持参した書物を開いた。
 どのくらいの時間が、たったであろうか。
 読書の疲れと、リズミカルな列車の震動に、つい、ウトウトしはじめたころである。
 けたたましい警笛と、鋭い急ブレーキの金属音が、夢心地を破った。
 機関手が踏切で、なにか障害物を発見したらしい。
 相当のショックで、前のめりになったが、あやうく転倒はまぬがれた。
 同時に幼児の、かん高い泣き声がおきる。
 ななめ右前の座席に、幼児を連れた若い母親が乗車していたことに気がついた。
 たぶん子供に、窓ガラスに額をすりつけるようにして、飛んでゆく車窓の風光を、楽しませていたのであろう。
 突然の衝撃に、幼児はその重い頭を強く窓枠にぶつけたようである。子供はなおも激しく、泣き叫んでいる。

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(1)この柱も痛かったのよ
(6)お嫁にいったら、
毎日よい着物を着て、
おいしいものを食べて、
よくお化粧するのですよ

(11)かんしゃくの、
くの字を捨てて、
ただ感謝

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