1万年堂出版……千年も万年も読みつがれる!そんな願いをこめて……「大切な忘れ物を届けに来ました」
カズオ

■はじめに

昨年秋、私のもとに、一通の手紙が届きました。『輝ける子』の読者からでした。
手紙は匿名で、ワープロでびっしり、約十枚にわたって書かれていました。
差出人は、おそらく十代の少年、要旨は、次のようなものでした。

「『輝ける子』を読んだ。世の中に、自分みたいな人間のことも、
 分かってくれる人があるんだ、と知り、とても勇気づけられる気がした。
 でも、その後、毎日生活していると、やはり自分をとりまく現実はちっとも変わらない。
 親は、相変わらず、ガミガミと傷つけることばかり言ってくるし、
 学校ではひどいいじめを受け続けている。先生からは頭ごなしに叱られる。
 だから、現実には、この本に書いてあるようなことはないんだ。
 だから、『輝ける子』なんてウソだ。タイトルを変えてほしい。
 『砕け散る子』に」

そして、手紙の最後には、「輝」という字が、光と軍に、真っ二つに切断され、
さらに、それが、ツ、ハ、ワ、車に、砕かれた文字が、ワープロで綴られていました。

これを見た時、私は胸が痛みました。
表面的には、私の本への攻撃、という形をとっていますが、
実は、この少年の気持ちは、

「自分は、もう輝くことなどありえない、
 あと残されているのは、華々しく砕け散ることだけだ」

ということだからです。「輝ける子」という文字を切断する行為というのは、
一種の自傷行為だと、思わずにおれませんでした。
そして、このような絶望感、無力感、自己評価の低さは、今日、引きこもる子どもや、
あるいは非行や犯罪に走る子どもと、全く軌を一にしています。

この少年が言うとおり、今も、世の中では、子どもの自殺が続き、
少年事件がマスコミを騒がせています。

では、われわれは、現代の子どものために、何ができるのか。学校や社会は、どうあるべきなのか。

それについて、この小著では考えてみたいと思います。

明橋大二

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