体験談編の主な内容

死の淵に立つ母の手が伸び、
付き添って寝る私の掛け布団を力なく引き上げてくれた

(愛知県 54歳・女性)

 母は、息絶えるまで私のことを、末っ子で手のかかる子供という眼差しで見ていました。卵巣ガンで最後だと分かった時に、母のベッドの横にベッドをつけ、姉、兄、姉、私と、皆で一晩ずつ付き添いました。
 私が付き添った時、眠れないでいる私に、母の手が伸びてきました。寝ていると思い、掛け布団を直してくれているのです。力なく布団を引き上げる様子、目を開けられなかった。忘れられません。
 ありがとう、母さん。

「お母さんだって熱があるのに……」

(東京都 28歳・女性)

 ある時、母と私は一緒に風邪をひいてしまいました。
 自分も熱があるのに母は、私の心配ばかりして、早速病院へ連れていってくれました。
 家には車がなく、母は私を自転車の後ろに座らせました。
 雨が横なぐりに降る、ひどく寒い冬でした。
 後ろから母のポケットに手を突っ込み、背中に顔をうずめた時の温かさが、今でもずっと忘れられません。
 一人正面からまともに雨を受けている母の姿に、
「お母さんだって熱があるのに……」
と泣きそうになりました。

背もだんだん縮み、足を引きずりながら手料理を作ってくれる

(東京都 44歳・女性)

 実家から離れて暮らしています。年に3回ぐらい、休みの時に主人と顔を見せに行きますが、行くたびに年老いていく母の姿を見ていると、私たちも同じ年齢が来るのかと痛感させられます。
 背もだんだん縮む一方ですが、実家へ行くと、足を引きずりながら手料理を作ってくれて、「座ってていいよ」と言っても、いろいろな手作り料理を運んでくれるんです。

うれしかった、ランドセルの鈴

(埼玉県 16歳・女子)

私が小学1年生のころ、ランドセルに鈴をつけたね。
走るたんびにチリリン鳴るものだから、イヤと言った私に、
“この鈴が鳴ると、あんたがどこにいるかすぐ分かるから”って。
本当はうるさくて、こっそり、はずそうと思ってたんだけど、
うれしくて、6年間はずせなかったんだよ。

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