どうすれば〈幸せ〉になれるのか?
この問いは、最も愚かで浅はかな、最も賢く深遠な問いです。
もしこの〈幸せ〉が、人々が思い浮かべる「幸せ」であれば、これほどつまらない問題はありません。答えは出ていますし、しかも皆が知っているからです。
ところがもし、一般に幸せだと思われているものではなく、「本当の幸福」とは何かを尋ねているのだとすれば、その深さは無限です。
どれくらい深遠かといいますと、ニーチェ*1の言葉を借りれば、「完全にその意味の奥底深くまで聴きとられるためだけでも、数世紀を要する問い」*2なのです。問題点を把握するだけで、何百年もかかる大問題があったとは!
真に偉大な哲学者は、ありふれた日常に、普通の人が気づかぬ大問題の潜むことを教えてくれます。
まずは、一般的な幸せから考えてみましょう。
「その『一般的な幸せ』とは何か?」と聞かれるかもしれませんので、「あなたが『幸せ』と呼んでいるもの」と答えておきます。「幸せ」という言葉が何を指すか、知らない人はないでしょう。あの「ほんわか気分」のことです。これでは定義になりませんが、定義することなど不可能ですから、先に進みます。
どうすれば「ほんわか気分」に包まれるのか。
「結婚」することです。
誤解を恐れずに言えば、「結婚」は人生の唯一にして最大の幸福です。
こう聞いてうなずくのは、新婚カップルだけでしょう。では逆にお尋ねします。
お金で幸せは買えますか?
名声や地位が幸福をもたらしてくれましたか?
才能は人生を勝利させますか?
人間を幸せにするものは何か、20年間にわたって、世界じゅうの数十万人を対象にした調査があります*3。それによれば、どれくらい幸せを感じるかは、その人の財産や地位、宗教、年齢や性別などには一切、関係ありませんでした。唯一、関係していたのが「結婚」です。
既婚者の中で「とても幸せだ」と感じている人の割合は、未婚者の2倍でした(新婚夫婦にだけ聞いた調査では、もちろんありません)。
明らかに結婚だけは、幸福の要因なのです。しかし結婚以外の手段では、幸福感は変わりません。財を築き栄達を果たし、自己の能力を発揮しようと、「ほんわか気分」は増えません。せいぜい他人がうらやむだけ。
これが、大規模な統計が明らかにした事実です。
あなたが求めてやまない「ほんわか気分」に、ほぼ確実になれる道は、結婚して家庭を持つことです。
「それは相手による」と言われるかもしれませんが、善きにつけ悪しきにつけ、暴力亭主でない限り、誰と結婚しても同じでしょう。理想の相手と結ばれたからといって、格段に幸福になることもありませんし、親に決められた結婚でも、実際はそれなりに幸せなのは、見聞きしているとおりです。
後で詳しく述べますが、私たちの肉体は、結婚すれば(少なくとも4年くらいは)幸せになれるようにできているのです。