1万年堂出版……千年も万年も読みつがれる!そんな願いをこめて……「大切な忘れ物を届けに来ました」
カズオ

著者からのメッセージ

 先日、あるお父さんが、言われました。「子どもがかわいくて、かわいくて。毎日、仕事から帰ったら、子どものところに直行です」  その方は、仕事の都合で、子どもが3歳になるまで、妻子と別居を続けていました。ようやく同居するようになったと思ったら、この、のめりこみようです。
 さらに驚いたのは、それまで続けていた社会人野球をすっぱりやめてしまったというのです。彼は、チームの4番打者で、毎日夜遅くまで練習の日々でした。
「いいんですか? みんな困っているでしょう」
「いいんです。私がいなくても何とかなります。それより仕事が終わったら、早く子どもに会いたくて……」
 あまりの子煩悩ぶりに少々あきれながらも、こんなにお父さんに愛されて育つ子どもは、幸せだなあと思ったのでした。
 ここ1、2年、父親の育児と仕事の両立を応援する動きは、社会に急速に広がりつつあります。
 男性の育児休業取得者がいる企業は、2年前の24.9パーセントから54.8パーセントに増え、父親の子育て推進は、「経営にプラス」とする企業も、93.1パーセントに上ります。いい人材を確保し、意欲を高め、生産性を上げるのに、有効な経営戦略と考えられ始めているのです。(日本経済新聞社 ワークライフバランス調査〈平成19年〉)
 しかし、その一方で、多くの父親の実感は、リストラで人員が削られ、よけいに忙しくなって、仕事だけでもういっぱいいっぱい、という声もよく聞かれます。
 また、気持ちはあっても、何を、どうすればよいのかわからない、という声も聞きます。父親の立場に立てば、子どもが生まれるまで、父親は、育児について、ほとんど教育を受ける機会がない、という現実があります。おじいさんを見て見習おうにも、これまた時代や状況が違いすぎ、なかなかモデルにはなりえません。

 そこで、今、パパとして奮闘中の方、またこれからパパになろうとする人に、これだけは知っておいてほしい、ということを、『ハッピーアドバイス』シリーズの一つとして出すことにしました。
 日々の診療の中で、お母さんから聞いたお父さんへの期待、また、お父さんの素敵なアイデア、そして、私自身のささやかな経験(というか、失敗?)から、特に大切だと思うことを、まとめました。

 子育てに関わることは、父親にとって、広くいえば、自分の生き方を見直す、大切なきっかけになります。
 生き馬の目を抜く競争社会の中で、自分の力がどこまで通用するのか、数字や結果を追い続けるのも、男性として確かにやりがいのあることでしょう。
 同時に、遊びとか、ゆとりとか、優劣でなくありのままの価値を認めるとか、損得なしのつきあいとか、仕事とはまた別の喜びが、子育ての中には確かにあります。
 子どもと関わる中で、父親自身がいやされ、それがまた明日へのエネルギーとなり、仕事のアイデアにもつながる、そんなことも少なくありません。
 子育てに関わることは、決して時間と労力を犠牲にすることではなく、父親の人間性を豊かにし、幸せを与えてくれるものなのです。  この小著を、少しでも、今後の子育てに、家庭円満のために、役立てていただければ幸いです。

平成19年10月  明橋 大二
はじめにより

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