1万年堂出版……千年も万年も読みつがれる!そんな願いをこめて……「大切な忘れ物を届けに来ました」
カズオ

著者からのメッセージ

 先日、あるお母さんとお話ししていたときのことです。
「子どもの自己評価を育むことって、そんなに大事だったんですね」
「わかってくださってありがたいです」
「それでね、今度、うちの子ども、学習塾に通わせようと思うんです」
「はい……?」
「塾に通ったら、きっと自分に自信がつくと思うんです」
「そうですか……。ところで、お子さんは、塾に行きたいと言ってるんですか?」
「子どもは、嫌だと言っています。でも、私は行かせたいんです」
「なるほど。でも、どうしても行きたくない、と言ったら?」
「じゃあ、何でもいいから、別のものをやりなさい、って言います」
「何かに取り組まないと、自己評価は育たないと?」
「そのとおりです!!」

 まだまだ、このおうちは、バトルが続きそうだな、と感じて、相談を終了したのでした。

 平成14年、文部科学省の委託調査で、日本と、アメリカ、中国の中学生の自己評価を比較した結果が発表されました(日本青少年研究所「中学生の生活意識に関する調査」)

(1)「私は他の人々に劣らず価値のある人間である」と答えた子どもの割合

中国 86.6% アメリカ 81.5% 日本 31.5%

(2)「時には、私は役に立たない人間だと思うことがある」と答えた子どもの割合

日本 56.4% アメリカ 32.0% 中国 25.4%

(「よくあてはまる」「ややあてはまる」を合わせた数字)

 確かに、国民性の違いもあるでしょう。これだけで、その国の子育てのよしあしが判定できるとも思いません。
 しかしそれにしても、日本の子どもの自己評価の低さは、突出していると思わずにおれません。
 日本の子どもが、米国、中国に比べて、特別ダメな子であるはずはないでしょう。
 それでは、どうして、日本の子どもたちはこんなに自己評価が低いのでしょう。
 それこそ、日本の社会が、子どもに対して、何かにつけ「わがままだ」「やる気がない」「甘えている」と否定的な言葉を繰り返してきた、結果ではないかと思うのです。

 およそ人間が生きていくために、「自分は存在価値がある」「生きてていいんだ」という、いわゆる自己評価は、最も大切なものです。ところが、私たちは、それをじゅうぶん、子どもの心に育むことをしてきませんでした。
 自己評価とは、何かをやらせて、ほめて、育むものとは違います。それだと、期待どおりにならないときには、逆に子どもを否定することになってしまいます。
 自己評価を育む、ということは、子どもの今のそのままを認めていくことです。塾に行っても行かなくても、勉強できてもできなくても、子どもなりに、一生懸命生きている、それをまず認めて、あなたは、とっても素敵だ、大切な子だ、ということを伝えていくのです。
 そういう土台があって初めて、子どもは、塾でも、勉強でも、さまざまなことに挑戦する意欲を培い、さらに自信をつけたり、挫折しても、またやり直そう、という勇気をもらうのです。

 学力が下がったとなると、みんな大騒ぎしますが、もっと大切な、自己評価がこれだけ低いことを、私たちは、もう一度、考え直す必要があるのではないかと思います。

 この『ハッピーアドバイス』のシリーズでは、これまで、自己評価(自己肯定感)がいかに大切かということを書いてきました。そして、子どもは、甘えをしっかり受け止めてもらうことで、自己評価を育まれることを示しました。

 そして、もう一つ、自己評価を育むために、大切なことがあります。それは、子どもの自立心を育てる、ということです。
 今回は、そのテーマを中心に、さらに、読者から要望のあった、思春期の対応についても、触れました。
 この小著が、未来ある子どもたちと、その親御さんの、自信と勇気につながれば、これほどうれしいことはありません。

明橋 大二
はじめにより

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